【読書】『スタンフォードの自分を変える教室』【自己コントロールの研究】

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 「意思力」―――「自制心」や「自己コントロール」―――を鍛えるにはどうすればいいか?
 滝に打たれることではなく、うさぎ跳びや火の玉ノックのような根性論ではありません。
 脳科学や心理学の研究結果を応用して、エクササイズのように実践して鍛える方法を教えてくれます。
 誘惑や欲求があるのは当たり前。もしこれがなかったら、人生がつまらないものになってしまいます。
 しかし、誘惑や欲求に流されてしまう、というのもいただけないものです。
 意思力、自制心の強い人は、誘惑や欲求とうまく折り合いをつけて、自己コントロールできる方法を知っています。
 自分の行動を、自分自身でコントロールできれば、自信がつき、自分が好きになり、自分にとって最も大切なことを追求することができるのです。

ポイント 自制心は筋肉に似ています。
 使えば疲労して、自制心がなくなってしまいます。
 エクササイズのように、正しい方法で鍛えましょう。

意思力は筋肉に似ている

「脳みそまで筋肉なのか!」
という罵りの言葉がありますが、こと意思力に関しては罵りではありません。
 意思力は筋肉に似ているので、使えば疲労して弱くなります。
 弱くなったら、意思力も自制心もなくなるので、自己コントロールができなくなる。
 なので、とっとと休みましょう。
 意思力は筋肉にているので、鍛えることができる。
 だから、鍛え方を学びましょう。

意思力の鍛え方

瞑想

やり方

  1. 動かずにじっと座る
  2. 呼吸に意識を集中する
  3. 呼吸しているときの感覚をつかみ、気が散り始めたら意識する

 1日5分から始め、10分、15分と長くしていく。
 短くても毎日練習する。
 「自己コントロールの鍛え方」で「瞑想」と言われると、疑問を感じますが、自己コントロールとは、目標から離れている自分に気づき、再び目標へ向かって軌道修正するプロセス。
 「息を吸って吐く」ぐらいの目標の軌道修正ぐらいなら簡単なこと。軌道修正の練習です。
 そして、瞑想は、脳の灰白質を増強する効果があります。

運動

 「運動」すれば、脳が大きくなる効果があります。
 ただし、科学的な合意は得られていないので、どれぐらいやればいいかは、分かっていません。
 しかし、1週間で投げ出してしまうような目標を設定しても意味はありません。
 長期的に続けられるようなことを探しましょう。
 『アウトプット大全』では、”1回1時間程度の有酸素運動を週2回行う”ことをオススメしています。
 具体的にコレ、という何かが思いつかなかったら、これをヒントにして探しましょう。

睡眠

 「6時間未満の睡眠」が脳を弱くすることも分かっています。
 意志力アップのためには、さっさと眠りましょう。
 人づてに聞いた話なので、誰が言ったことなのか分かりませんが、書いておきます。
「イヤなことがあったら、美味しいものでも食べて、とっとと寝ちゃえばいいのよ」
 眠りましょう。

ストレス解消

 ストレスは一瞬でやる気を奪います―――――これは、誰でも経験あるのではないでしょうか。
 米国心理学協会によるストレス解消法をまとめてみました。

効果的の高い方法 効果の低い方法
エクササイズ、スポーツをする
礼拝に出席する
読書、音楽
家族、友だちとすごす
マッサージを受ける
外へ出て散歩をする
瞑想、ヨガ
クリエイティブな趣味の時間を過ごす
ギャンブル
タバコ
お酒
やけ食い
テレビゲーム
インターネット
テレビ、映画を2時間以上見る

 会社帰りに一杯ひっかけて、ネットサーフィンして寝落ち。なんてことをしたら、ストレス解消の効果は低いのです(反省)。
 左側を増やして、右側を減らしましょう。

見ない

 残虐な実験として、
「4歳の子どもたちに、マシュマロを、すぐに1コもらうか、15分後に2コもらうか?」
を行いました。
 ジタバタしている4歳児たちは、さまざまなことを教えてくれます。
 この「マシュマロチャレンジ」には自制心のヒントが隠れています。
 成功し、待てた子どもたちは、
―――――マシュマロを見ないようにしていました。
 不愉快なことをいっとき我慢して、長期的な目標を達成するには、目の前の報酬から、うまく気をそらす方法を知ること。
―――――見なければいいのです。

自分を許す

 ダイエット中の人たちが、甘いものをたくさん食べてしまった!
 自責の念を感じている人たちに、なぐさめの言葉をかけたら、食べる量が減ったそうです。
 誘惑が自制心の敵であることも事実ですが、誘惑がなければ人生つまらなくなってしまいます。
 誘惑に負けてしまうのも人間。でも、それで自責の念に駆られてしまったら、それがストレスになる。
 自責の念というストレスが、自制心を奪うのです。
 自責の念に駆られるよりも、同じ過ちを繰り返さないように対策を講じるましょう。
 それには、自分を許し、なぐさめの言葉をかけ、次に同じことをしそうになったらどうしたらいいか、を考えることです。

待つ

 タバコを吸いたくなったら、吸ってもいいよ―――――
―――――ただし、10分待ってから吸うように。
 たったそれだけのことで、タバコを減らすことができる、と実験が示しています。
 なので、「どうしても欲しい」と思っても、ちょっとだけ待ちましょう。
 それでもほしかったら手に入れればいいのです。

「鉄の意志をもつ人」のことを考える

 「駐輪禁止」の看板のすぐ脇に自転車を仕込んでおくと、それにつられて放置自転車が増えるばかりか、ごみを捨てる、通り抜け禁止の道を通過するなどなど。
 他の人がルールを無視して好き勝手にふるまった形跡を見ると、私たちも衝動に負けやすくなります。
 なので、誘惑に弱い友達とは距離を置き、自制心の強い人のマネをするようにしましょう。
 自制心が強い人を思い出し
「あの人、どうやってるのかな?」
と考えてみましょう。

「○○しない」より「○○する」

「これから5分間、シロクマのことを考えないでください」
 こういわれると、かえって考えてしまう。
 心理学者は「メンタルコントロールの皮肉」と呼んでいます。
 これが、ダイエットでも起きてしまいます。
 誘惑や欲求を抑えつけると、心のエネルギーを使ってしまい、意思力が奪われ―――――自制心を失います。
 だから、とりあえず、誘惑や欲求を感じて、認めること。
 しかし、行動だけは自制すること。
 たとえばダイエットなら、食べる量を減らすとか、カロリーの低いものを食べること、腹持ちのいいものを食べて空腹を感じないようにする、10分待つ、などなど。
 誘惑や欲求を別の方法で満たすものを、事前に考えておきましょう。また、うまく気を紛らわせる方法をいくつかストックしておきましょう。
 「メンタルコントロールの皮肉」に関しては、『シロクマのことだけは考えるな!』が詳しいです。

まとめ

 自制心は筋肉に似ています。
 使えば疲労して、自制心がなくなってしまいます。
 エクササイズのように、正しい方法で鍛えましょう。