【読書】『マーケット感覚を身につけよう』【攻略法は「謙虚さ」と「好奇心」】
行きつけの家電量販店、というのも妙な書き方ですが、正面入り口で、「何を売っていたか?」を思い出すと、時代の変化が分かります。
デジタルカメラ
→ パソコン
→ 携帯電話(ガラケー・フューチャーフォン)
→ 光回線
→ パソコンに戻る
→ スマートフォン
という順番にはちょっと怪しいものがありますが、そこはかとなく当たっていると思います。
思い返してみれば、
「IT化の洗礼を、最も受けたのは、家電量販店の方では?」
と思います。
何か新しいテクノロジーが生まれ、それが商品化されると、その商品の知識を憶えなければならない。
しかも、次から次へと。
いまさらカセットテープやビデオテープに戻りたくないから、家電量販店の方は次から次へと勉強しなければならない―――――
逆に考えれば、家電量販店の方は「マーケット感覚」を身につけているのでしょう。
だって、マーケットが求めているものを、次から次へと憶えてたんだもん。
- 「マーケット感覚」を身につける5つの方法
[その1]プライシング能力を身につける
[その2]インセンティブシステムを理解する
[その3]市場に評価される方法を学ぶ
[その4]失敗と成功の関係を理解する
[その5]市場性の高い環境に身を置く - 変わらなければ替えられる
- 攻略法は「謙虚さ」と「好奇心」
「マーケット感覚」を身につける5つの方法
ちきりんさんは5つの方法を示しています。
[その1]プライシング能力を身につける
[その2]インセンティブシステムを理解する
[その3]市場に評価される方法を学ぶ
[その4]失敗と成功の関係を理解する
[その5]市場性の高い環境に身を置く
[その1]プライシング能力を身につける
身の回りに存在する、まだ商品化されていない「何か」について、独自の基準を持って、「これには、ものすごく大きな価値がある」「これには、せいぜいこの程度の価値しかない」と言えるようにならないと、マーケット感覚が身についたとは言えません。
では、「価値を判断するための自分独自の基準」は、どうやって身につければいいのでしょう? 一番よい方法は、すでに値札つきで売られているものについても、自分の基準に基づき、プライシング(値付け)をしてみることです。「自分の価値基準に照らし合わせて妥当な値段か?」
それを考える訓練をしましょう。
[その2]インセンティブシステムを理解する
「人間の行動が何に動機づけられているか?」
を考えましょう。
大半の人は単純ではなく、複雑で、繊細で、ようするに、よく分からないものです。
そのために、自分の欲望に素直に向き合うこと。自分の欲望を捨ててしまっては、他人の欲望を想像することはできません。
また、何でもかんでも、規則や罰則で問題を解決しようとしないことです。減量やダイエットが「根性」で解決しないことを考えれば当たり前のことです。
人間の欲望を有効活用する方法を探しましょう。
[その3]市場に評価される方法を学ぶ
上司のお眼鏡にかなって出世してとか、キーパーソンに取り入って商談成立とか、短期的に成功を収めることは可能かもしれません。「組織」と「市場」の意思決定スタイルの違いを理解し、組織に評価されるのではなく、市場に評価される方法を学ぶことです。
しかし、組織がマーケットから「否」を突き付けられてしまったら、その組織が市場から「退場」してしまうことになります。そうなったら、長期的には失敗です。
僕が思い出すのは、『キリンビール高知支店の奇跡』です。
「本社から下ってきた命令を、忠実に実行する」ので「量販店に営業」する「組織型」の意思決定スタイル。この方法は、高知県では結果が出ませんでした。
ところで、高知県の人は宴会好き。だったら「料飲店に営業」するにシフトチェンジ。これで結果が出たのは、「高知県の方は何を求めているか?」を探り当てた「市場型」の意思決定スタイル。これで成功したのです。 とはいっても、マーケットの意思決定者は不特定多数なので、「何を求めているか?」を探るのは大変です。ある人が満足しても、他の人は不満ということは、往々にしてあります。
なので、「とりあえずやってみる」しかありません。
そのためには、
「素早い行動力」×「迅速な意思決定」
の掛け算が必要です。
[その4]失敗と成功の関係を理解する
マーケットの参加者は不特定多数で、それに加えて世の中は変化し続けています。
要するに、「何が成功して何が失敗するか」はやってみなければ分からないのです。
とはいっても、最低限の品質は必要ですから、学校・ビジネススクール・研修は必要です。しかし、それだけでは「マーケット感覚」はいつまでたっても育ちません。
成果を出すためには、
「正しい方法で習い、反復練習で覚える」×「学んだことを実践し、現実的な成果が出せるよう経験を積む」
この掛け算の繰り返しが必要です。
「とりあえずやってみる→失敗する→市場からフィードバックを得るそれを参考にして、もう一度やってみる」というプロセスをできるだけ何度も繰り返すことが重要なのです。
[その5]市場性の高い環境に身を置く
お金がなくとも楽しく暮らす方法に関心のある読者向けの本が1700円、生活保護の受給体験を知っておきたいと考える人に向けられた本が1500円、というのも妙な価格設定です。
本の価格設定にはさまざまな考え方があるし、出版社の方の努力を否定するわけではありませんが、上記の例には違和感があります。
売上 = 価格 × 数量
なので、上記の例だと価格を落として、数量を伸ばした方が戦略としては正しいのです。
そして、紙の書籍で不可能なら、電子書籍だけ価格を落とせばいいのです。
変わらなければ替えられる
冒頭にも書きましたが、
「いまさらカセットテープやビデオテープに戻りたくないな」
と考えたら、そりゃそうです。
「どこのメーカーのカセットテープの音質がいいか?」
で無駄な論争をしていた、と書くと歳がバレますが、いまさらどうでもいいことです。
ビデオテープも、DVD、ハードディスクにしてしまえば、場所もとらないし、画質もいい。どころか、インターネットで高速ダウンロードになると「権利」だけあればモノが要らなくなります。
主義、思想、商売の技術、ビジネススタイルも時代の変化の波にさらされています。なので、非効率で非合理なものは、「市場」の前に、早晩叩き潰されてしまいます。
そうならないために、早めに効率的で合理的なものを、受け入れ、学習し、ビジネスにつなげましょう。
攻略法は「謙虚さ」と「好奇心」
じゃあ、具体的に、何をどうやって、学習すればいいのか?
僕は預言者ではないので、具体的なものは思いつかず、思いついたところで外れるでしょうから、ここは『ファクトフルネス』に方向性を見いだしましょう。
ということで、『ファクトフルネス』の復習。このようなことが書かれていました。
- 世界は変わり続けていること
- 知識をアップデートしなければならないこと
- 事実を正しく見つめるためには、「謙虚さ」が必要なこと
- 新しい情報を積極的に探し、受け入れるのは「好奇心」であること
変わり続けているのだから、事実を「謙虚」に見つめ、新しい情報を「好奇心」を持って探しに行く。
そこからマーケットが何に価値を求めていて、何を欲しているのかを探る。
と考えたら、変化は面白いものです。変化するたびに、新しいビジネスチャンスが生まれるのだから。
そして、新しいビジネスチャンスをつかむには、「マーケット感覚」を身につけることです。
まとめ
- 「マーケット感覚」を身につける5つの方法
[その1]プライシング能力を身につける
[その2]インセンティブシステムを理解する
[その3]市場に評価される方法を学ぶ
[その4]失敗と成功の関係を理解する
[その5]市場性の高い環境に身を置く - 変わらなければ替えられる
- 攻略法は「謙虚さ」と「好奇心」