【読書】『空想科学読本4』【科学って、本当に面白いんですね】
科学に親しむ機会をいただきました
柳田理科雄さんは、ゴジラの体重の計算を間違えていたそうだ。
ヒントはあった。読者からの手紙も読んでいた。しかし、すでに69万7000部も売れている!
絶版にしてくれ―――――と編集者に依頼したら、中学以来の付き合いだから、容赦ない。
間違いが発見された!? それがどうした。お前の本の内容が正しいかどうかなんて、気にしてるヤツが世の中にいるのか?誰がどう聞いても、あんまりだ、と思うのだが、
『空想科学読本』の功績は、多くの読者に、科学に親しむ機会を提供したことだ。読者が自分で考えるきっかけを作ったことだ。ごもっとも。
柳田さんのおかげで、気がついたり、思い出したり、そんな法則があったのかと知ったり―――――ようするに、科学的に考えるって、面白いことなんだ、と教わっている。
私は間違えてばかりいる。だが、科学に固執するあまり、読者が遠く離れていってしまうことこそ、私が決して犯してはならない間違いなのだ。今回の間違い発覚騒動は、それを教えてくれた。そして、本を書くという仕事が、孤独な作業ではないことも気づかせてくれた。私は、常に読者と共に歩み続けたい。僕もきっと間違えているだろう。そして、そのたびに反省し、修正し、そして、成長するのだろう。
そして、読者が離れてしまうようなことも、やってはならないことだ。
僕も読者と共に歩んでいければ。
魔女が、ホウキに乗って空を飛ぶのは、むずかしい
ホウキに乗って空に飛ぶ―――――
武空術だったらホウキはいらないから、魔女が魔法を使って、ホウキに飛ぶ力を与えている、と考えるがスジである。
しかし、ホウキに乗って空に飛ぶと、重心がホウキの上になってしまって、バランスが悪い!
180度ひっくり返ってしまうのだ。
手帳型のスマホケースがあったら、竹串とかの細い棒を入れて棒の上にスマホを乗っけてほしい。ひっくり返るから。
重心を考えると、ホウキにぶら下がって飛ぶ方が安定的になるのだが、そんな魔法使いは見たことはない。
ここまで「左右」のバランスのことしか考えなかったが、「前後」のバランスも考えたら、どうなるか?
SUPだったら「ワー」「キャー」いえるのだが、ホウキに乗って空の上、である。考えるだけでも恐ろしい。
と、ここまでは科学の話だけど、『魔女の宅急便』で、キキはホウキの掃く方を上にして、持ち歩いていた。
衛生面で問題があるのだけど、「逆さ箒」は、客に帰ってほしい、日本各地に残る、迷信やおまじない。
科学のことだけではなく、衛生面や、迷信やおまじないまで勉強できたのです。
ウルトラマンは地球を救えない
ウルトラマンはマッハ5で空を飛んでも、3分間しか活動できないので、310kmしか移動できない。
東京から西へ飛んだら、名古屋を過ぎたところで時間切れ。
地球どころか、日本どころか、大阪すら守れないのだ。
しかし、全く知らなかったのだが、
マッハの定義とは、「流体中の音速に対する比」。そして音速とは、音を伝える物質によって大きく変わってくる。音速とは、空気中ですら変化して、摂氏0度で秒速332m。気温が1度上がるごとに秒速0.6ずつ早くなる。
水中では、温度にほとんど関係なく、秒速1500m。
そして、マグマの中では、秒速7700m!
ウルトラマンティガは地中進行速度がマッハ1.5なので、秒速7700mで計算すると、3分で2080kmも移動できる!
これをもとに、ウルトラマンティガの活動範囲を図にすると(本書245ページ)、北は北海道はおろかロシアの一部と、中国東北地方の一部まで。西に進んで、朝鮮半島はもちろん、上海と台湾の一部まで含み、もちろん沖縄全部。南は北マリアナ諸島の一部まで含めることはできる。
「3分間マッハ5で空を飛ぶ」よりも、「3分間マッハ1.5で地底を進行する」のほうが、より多くの地域を守れる―――――地底から「デュワッ!」と、飛び出してくるヒーローは、かっこよくもないし、ドッキリなんじゃないかと思うけど。
それはともかく、「マッハの定義」を勉強することができたのです。