【読書】『空想科学読本5』【エネルギーとパワーに関する考察】

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かめはめ波は撃てる、かもしれない

 柳田理科雄さんの講演会の質疑応答では、さまざまな質問が飛んでくるそうだ。
「ウルトラマンが寝ると、どんな高さになりますか?」
 この質問は、小学校5年生の女の子なのだが、よくそんな疑問が思い浮かぶものだ。
 ちなみに、6m。2階の屋根よりちょっと低いくらい。
「かめはめ波は、撃てるようになりますか?」
 スペシウム光線の打ち方は一度も聞かれていないのに、かめはめ波は聞かれるのだ。
 ここでは、『ドラゴンボール』の「かめはめ波」を、エネルギーの観点から考察しよう。

 第23回天下一武道会の決勝戦、孫悟空がピッコロに撃った「かめはめ波」の破壊力を計算すると、爆薬26kg、標準的なダイナマイト130本分のエネルギーとなる。こう書くと相当な破壊力に思える。
 爆薬26kgは26,000キロカロリーと計算すると、成人男性が一日に必要とするエネルギー約2500キロカロリーの10日分。意外とできそうなレベルになってくる。
 ちなみに、これを米飯だけで摂取するとなると、普通のお茶碗130杯分。おばQですら20杯でギブアップする量だから、できないレベルかもしれない。
 いや、食い溜めして体内に蓄積すればいい。なので、脂肪で計算してみよう。脂肪が蓄えるエネルギーは1gあたり9キロカロリーだから、2.9kg。撃てそうなレベルになった!
 自由自在に撃てるようになれば、「かめはめ波ダイエット」がブームになるだろう。
 それはともかく、かめはめ波のエネルギーは、例え方次第で、こんなにイメージが変わると思うと、興味深い。

スーパーパワーを誇るドラえもん

 日本人なら誰もが欲しがるスーパーロボットはドラえもんだろう。
 四次元ポケットから取り出すさまざまなアイテムが、優れものなのだが、ドラえもん自身が優れものなのである。
 ドラえもんの体格や性能は、なぜか「129.3」という数字にこだわられている。
 身長129.3cmは、うなずける。
 ネズミから逃げる速度も、時速129.3km。JR在来線の営業最大速度が時速130kmだから、そこまで早く逃げる必要はない。
 そして、体重129.3kg。2018年の幕内力士の平均体重は164kgだから、幕内力士の80%ほどの体重。
 さらに、129.3馬力という驚異の破壊力!
 柳田さんは、

馬力が人間(最大で6馬力)の20倍以上というのだから、これはもう朝青龍より明らかに強いはずだ
というけれど、この原稿を書きながら調べてみた。
「体重73kgの人間が100mを10秒で走る力」が1馬力に相当します。
参照:1馬力はどれくらい?
 これが一番わかりやすかった。
 いずれにせよ、129.3馬力はとんでもない破壊力だ。
 それなのに、のび太は、そんなドラえもんとどら焼きを巡って取っ組み合っている。
 ドラえもんと生活していたら、相当に鍛えられ、少なくとも「パワー」の面では、誰にも負けなくなるはずだ。
 さらに恐ろしいのは、ジャイアンである。ドラえもんを殴って気絶させることができるという「驚異の小学生」。
 ドラえもんも、のび太も、ジャイアンも、スーパーパワーを持ったキャラクターだったのだ。