【読書】『未来の働き方を考えよう』【自分の人生は自分で決める】

読書読書,未来の働き方を考えよう,ちきりん

重要なことは、政府や企業が決めたルールを黙って受け入れるのではなく、ひとりひとりが自分で自分の働き方を選んでいくという気持ちをもつことです。

 「60歳定年制 → 65歳定年制」への移行もそうなのですが、「45歳でリストラ」というのも、おかしな話です。
 「65歳定年」 VS 「45歳でリストラ」
 20年間どうするのか?
 そもそも論なのですが、もっと早くリタイアしても、もっと遅くまで働いても、自由なはずです。
 もちろん、モラルやマナー、法律には逆らってはいけません。しかし、その範囲内であれば個人の自由であるべきもの。
 「国が決めたことだから」「会社が決めたことだから」と黙って従うほうが精神的に楽かもしれませんが、それは思考停止です。
 どうせ社会は変わる。世の中は変わる。ついでに、自分も変わる。
 その動きを察知し、捉え、対応しなければ生き残れないのに、思考停止していたら、どこに流されるかしれたものではありません。
 新卒で入った会社で定年を迎えることを否定するわけではないのですが、何も考えないというのも、ビジネスパーソンとしていただけないもの。
 「自分が、社会や会社に貢献するにはどうしたらよいか?」というヒントがあるので、一読をオススメします。

ポイント オリジナル人生を生きるためには
パワーシフト① 大企業から個人へ by IT革命
パワーシフト② 先進国から新興国へ by グローバリゼーション
パワーシフト③ ストックからフローへ by 人生の長期化
 それを踏まえて、2回目以降の人生を設計しましょう。

IT革命

「手に職をつければ安心」といっても、その専門技術を必要とする職業や市場自体が消えてしまっては、意味がありません。ワープロやパソコンの出現前、「きれいな字が書けること」が、事務職として就職したい女性にはとても重要でした。企業がお客様に出す手紙や資料はすべて、手書きだったからです。だからみんな就職のために、習字やペン字を習って「手に職」をつけようとしたのです。

 そんな仕事あったの?
 この話を世の中のニュースにからめると危険な方向に向かうので、僕の子どもの頃の話で進めます。

 左利きの矯正のため、小学校低学年のころ、やりたくもない習字を習わさせられていました。
 今ではすっかりセキュリティ対策万全な字を書いていますが、子どもの頃はとてもきれいな字を書いていました。
 「このまま書道を極めてやる」と考えていたら、今どうなっていたか―――――同僚は喜ぶかもしれません。

 その後、ゲーム好きが高じてプログラミングにはまりました。
 家では「勉強しろ」と怒られ、学校では「オタクだ」と罵られ、ずいぶんな言われよう。
 しかし、今では便利なスキルです。
(プログラムのことは、ほとんど忘れてしまいましたが、「あんなことやってんのかな?」ぐらいは感覚的にわかります。)

 30年後のことなど予想できるわけでもなく、ただ単に、好きなことやっていただけなので、たまたま運がよかっただけのことですが。
 何がどう化けるかなんて誰にもわかりません。ましてや、30年後なんて。

人生の長期化

 書道は好きでやっていたわけではないので、やめてしまいました。好きだったプログラミングもやめてしまいました。
 その後、ギャンブル、エアロビクスと変わって、今ではヨガもはじめました。
 ギャンブルのためにCS放送が必要だったのですが、インターネットの高速化でパソコンがあれば、必要なくなりました。
 CS放送のために南南西(ほぼ南)の部屋がよかったのですが、今ではどっち向いていても構いません。
 とりダメしたビデオテープも、必要なくなったので廃棄。
 パソコンあればたいていのことはできるので、テレビも捨て、あれもこれもと捨てていったら、部屋がスッキリしてしまったので、広さも必要ありません。
 自分の趣味も変わる。
 それに、技術の進歩で必要なくなるものもあるし、別のもので代替可能なものも出てくるし、どうでもよくなるものもあります。

 これから10年、20年、30年と生きていく間、何が起こるか分かりません。
 その時に大事なのは、しがみつくことや「あの頃はよかったよね」とノスタルジーに浸ることでもありません。
 これからどうしようか、です。
 経営学では、ヒト・モノ・カネ・情報といいますが、人生戦略でも応用できると思います。
 友だちに金の無心をお願いするのは極力避けたほうがいいと思いますが、「どうやってうまいことをやるか?」には情報が必要なのだから、ヒトと情報は集めておいて損はありません。
 詳しい人に、頭下げて教えてもらえばいいし、マネすればいいし、最低でも仲良くしておく、と考えたら、その際に必要なのは、「人間関係を築く能力」でしょう。
 「人間関係もストックよりフロー」
 こう書かれるとドライに聞こえますが、ストックするためにはフローがないとできないのだから、フローは重要です。

 僕自身、趣味が変わるたびに、新しい交友関係が増えました。
 「こんな人生あるんだな」と勉強になります。
 ちなみに、勤めた会社が3回連続で倒産したという友だちもできました。それでも明るく元気にやっているのを見ると、人生なんとかなりそうだと思えます。

「パワーを持つ層の交代」が革命

 ちきりんさんは”「パワーを持つ層の交代」が革命”として、3つのパワーシフトを挙げています。
パワーシフト① 大企業から個人へ by IT革命
パワーシフト② 先進国から新興国へ by グローバリゼーション
パワーシフト③ ストックからフローへ by 人生の長期化

 ちなみに、1751年、フランスで『百科全書』が刊行されたときに、こんなことがありました。
 イギリスの百科事典を翻訳しよう。いや、単なる翻訳に終わらせず、フランスの英知を結晶させたものを刊行しよう―――――
―――――と思ったら苦情が入りました。
「知識の解放は、力の解放につながる。そしてそれは、社会の崩壊につながる」
 知識というものは、親方から弟子に、父親から子供に、伝えられるべきものだ。

 大工の子でも、染め職人になりたければ、染めの頁を調べればいい。染め職人の子でもパン屋になりたければ、パンの項目を読めばいい。パン屋の子も大工になりたければ、鋸、金槌、鉋と引いて学ぶことができる。百科全書さえあれば、社会は流動化するのである。『ブルボン朝』
 社会の崩壊よりも、親方親父の方が先に崩壊するんじゃないかと思いますが、既得権益を得ている人がパワーシフトを叩き潰そうとするのは、古今東西問いません。
 既得権益持っていなくても、社会の変化に対応できない人や対応したくない人も存在します。「パワーシフト」といっても、聞く耳持たないでしょう。
 『百科全書』の場合、紙と印刷術と資本が必要ですが、現在ではWikipediaやYouTubeです。
 苦情を言っている時間もないのです。とっととインターネットで調べてしまえばいいのだから。

職業人生は2回ある

 新卒で入った会社で65歳定年まで働いたとして、40年以上働くことになります。
 40年以上、社会の変化も、技術の進歩も考えたこともない、調べたこともない。それは、ビジネスパーソンとして正しい姿勢ではありません。
 それに、組織の中のみんながその調子では、その企業の先行きも明るくはなりません。

 たとえば、デジカメの登場・普及でフィルム市場が縮小しました。コダックは倒れましたが、富士フィルムは構造転換して生き延びることができました。
 仮にあなたが富士フィルムで働いていたとして、「フィルムを売るのが得意です」って言ったところで、会社だって困るでしょう?
 せっかく会社が世の中の変化に対応してくれたのに、あなたが世の中の変化に対応できないでは、困った人になってしまいます。
 ましてや、今は新型コロナウィルスです。本当に何が起きるか分かりません。
 「業態は陳腐化する」という危機感を常に持ち、青山商事・AOKIは業態転換の日常的に備えていました。それが、コロナで全滅してしまったのは、不運としか言いようがありません。


 会社だって何とかしようと頑張っているのです。それを会社任せにして放り投げたりせず、個人でもできることをやりましょう。
 そうすれば、会社だって喜んでくれるはずです。
 ビジネスパーソンには、できることはやる、できなかったら調べる、勉強する、教えてもらう、マネするという姿勢が必要なのです。

 そこまで、新卒新人ができるとは思えないし、僕も新卒新人の頃はできませんでした。
 しかし、40年以上も働いていれば、自分なりに調べて、考えることはできるようになります。
 解決する方法を見つけられなくても、なんとなくこうすればいいのかなぁ、ぐらいのことは思いつくはずです。
 机上の検討でいいから、一度は考えましょう。

 海外旅行で例えれば、1回目はパッケージ旅行、2回目以降はアレンジできる。それと同じように、自分の人生を考えれば、本気のワークライフバランスを実現できます。

オリジナル人生を設計するために

 大学の授業で、ある教授が
「住宅ローン返済のために働いている、と考えると、引っ越しの自由もないし、転職の自由もない。奴隷みたいだなぁ」
とボヤいていました。
 その時は笑って、住宅ローンだけは組まないぞ、と考えていました。
 オードリーの春日さんのように、激安物件で貯金をして、家を買うという選択もありです。
 大原扁理さんは、『年収90万円でハッピーライフ』を送っています。


 「そんな生き方あるんだな」なんてこと、1回目で考えたり実行できたりできなくても、2回目以降のアレンジで考えたり、実行することはできます。

 2回目以降のオリジナル人生を設計するために、ちきりんさんは
ステップ1:手に入れたい目標を明確にする
ステップ2:複数のシナリオを持とう
ステップ3:市場で稼ぐ力を身につけよう
というステップを教えてくれています。
 新卒新人では無理でしょうが(できた人は幸せだけど)、40年以上も働いていたら、相当なことができるようになります。
 春日さんのように、「貯金をして家を買う」でもいいし、大原さんのように低所得低支出生活でもいいでしょう。もちろん、新卒で入社した会社で定年を迎えても構いません。
 重要なのは、考えてみる、こと。
 どうせ世の中変わるのです。自分も変わります。
 それなのに、何も考えないで、国や会社の言いなりになり、流される所まで流されて・・・・・こんな人生で良かったっけ? と後悔しないために、考えてみましょう。

まとめ

 オリジナル人生を生きるためには
パワーシフト① 大企業から個人へ by IT革命
パワーシフト② 先進国から新興国へ by グローバリゼーション
パワーシフト③ ストックからフローへ by 人生の長期化
 それを踏まえて、2回目以降の人生を設計しましょう。