【読書】『ノストラダムスと王妃』
アンリ2世の末期からカトリーヌ・ドゥ・メディシスの摂政が始まるまでの間の、フランスが舞台。
中世のフランスは
- 国王と大貴族の対立
- 貴族と貴族も対立
- カトリックとプロテスタンの対立
- フランス国内の対立に便乗して介入しようとする諸外国
この4つの問題がついて回ります。
カトリーヌ・ドゥ・メディシスは、これらの問題の中を、巧みに立ち回るのです。
- 暴力では何も解決しないこと
- 正しいやり方を示すこと
- 寛容であること
- 人の恨みを買わない程度に行動するということ
有名な預言
これが別の意味になるのですが。一九九九年、七の月
天から恐怖の大王がやってくる
アンゴルモアの偉大な王が甦り、
火星の前後に、幸福の名のもとに君臨する
ノストラダムスの時代は、信心深い人たちが多かった時代。というより、狂信や迷信といっていいほどに。
そんな時代に何かを発表しようと思ったら、抽象的な言葉や曖昧な表現を使って、煙に巻くようなことをしなければならなかったのです。
武器と暴力は、何も解決しない
ノストラダムスは目をつぶる。報復は、報復を呼ぶだろう、武器と暴力は、何も解決しない。殺されたドジエなら、言うであろう。
「おい、僕の死を役に立ててくれよ。犬死は、ごめんだぞ」
どうすればよいのか。答えは、一つにちがいなかった。
このフランスのあらゆる人間に尊敬され、カバンさえも従えることのできる唯一の人物、フランス国王。その絶対権力が、率先して正しいやり方を示すことである。
民衆が真似をするような迫害をやめること。カトリックの峻厳さを是正し、プロテスタンを認め、一つの国に二つの宗教を許し、カトリック以上に厳格なプロテスタンにも寛容を強いること。それ以外にこの不幸を止める道はなく、自分と家族を守る術もないように思えた。
- 暴力では何も解決しないこと
- 正しいやり方を示すこと
- 寛容であること
この3つを心掛けるべし。
内輪揉めで民衆が困ったことになるのも問題なのですが、それに乗じて諸外国の介入があることも問題。
「統治するなら分断せよ」は間違い。統治するなら、団結しなければならないのです。
人の恨みを買わない程度に行動すること
人の恨みを買わない程度に行動するということが、大切なのです。
慎重さを欠いた行動は、慎まねばなりません。宮廷という場所においては、感情は、いつも檻の中に閉じ込めておくべき、顔には仮面をかぶっているべきなのです国王の死後、権力の後ろ盾を失った愛妾がどんな復讐にあうことか。歴史を紐解けば枚挙にいとまがありません。
しかし、カトリーヌが、夫アンリ二世の愛妾ディアヌに求めたことは、シュノンソー城の返却と宮廷への出禁のみ、というあまりにも穏健すぎる内容でした。
それは、フランス国内で4つの争いのタネがあるというのに、自分の恨みを晴らすために5つ目の争いのタネを増やしてはならないから。
また、暴力では何も解決しないのです。正しいやり方を示すこと、寛容であること。
恨みつらみはたっぷりある自分の夫の浮気相手にすら、実行できるのは、「冷徹さ」です。
まとめ
- 暴力では何も解決しないこと
- 正しいやり方を示すこと
- 寛容であること
- 人の恨みを買わない程度に行動するということ