【読書】『好かれる技術 心理学が教える2分の法則』【フラメンコな印象で2分を制する】

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第一印象は2分で決まって、その後はもう変わらない。

 「人は見た目が9割」どころか、最初の2分ですべてが決まってしまうのです。

最初の2分で決まる理由

飽きる

 初対面の人と「雑談&自己紹介」をする実験を行う。
 この実験で観察しているのは、話の中身ではなく、「貧乏ゆすり」と「指いじり」をいつ始めるか? です。
 結果は「2分」。
 たった2分で「飽きる」のです。

「初頭効果」と「確証バイアス」

 ひとたび作られた印象は修正されにくく、むしろ増幅していく。心理学では「初頭効果」と呼ばれています。
 人間には「確証バイアス」という認知のゆがみがあります。それは「自分の正しさを確かめるような情報ばかり集める」という間違い。
 確証と反証がともなってこそ、論理的思考ができるのですが、人間はそんなに高性能ではありません。
 「初頭効果」が働いてしまうことを考えると、初対面の印象、とくに最初の「2分間」は極めて重要になります。

フラメンコな人を目指す

印象とは、その人のことを表す形容(動)詞が音符のように連なって、1つのメロディを奏でているようなもの。

 ここでは「雅楽な人」「ゴスペルな人」「フラメンコな人」の3つに分類します。
 「雅楽な人」の印象は「やわらかい、おだやかな、のんびりとした、知的な、軽やかな・・・・・」いわゆる癒し系に近い人。
 「ゴスペルは人」の印象は「生き生きとした、前向きな、感動的な、明るい、ダイナミックな・・・・・」まるで太陽のように光り輝く力強いイメージ。
 どちらもよさそうな気がしますが、致命的な欠点は相手を完全に満足させてしまうことです。

 第一印象で重要なのは「とにかく、なんとしてでも、もう一度会いたい」と相手に思わせること。心理学的にいえば「認知的不協和」を見せることです。
 「フラメンコな人」は、これができるのです。
 それゆえ、身につける印象は「フラメンコな人」なのです。

準備

めったに踊らない

 すべての初対面の人に、やたらとこれを披露してしまうと、ストーカーを作ってしまう可能性があります。
 そもそも、会いたくもないような相手に絡まれたくはないですよね?
 それに、会う人全員に同じような態度をとるよりも、むしろターゲットを1人に絞ったほうが、インパクトが高まります。
 なので、その能力を出し惜しみましょう。
 ミーティングや合コンなどといった少人数の集いでメンバー全員に対して全力のフラメンコを披露するの禁忌です。

フィーリングが合わない人を探せ

 「フィーリングが合う」とは、心理学的には無意識の回避願望を含んでいます。
 自分のアイデンティティとかコンプレックスを脅かさない「安全パイ」を選んでいるということ。
 こういう相手とは、切磋琢磨がないから張り合いがない。
 わざわざ努力して、好印象をマスターしてまで狙い落すほどのものではありません。
 それに、似ている人ばかりで固まっている集団は、仕事ができない、成績が悪い、進歩がない、異性からモテない、とアメリカ人の男性会社員を調査して証明された、ロクでもない報告まであります。

 あなたを本当に進歩させ、充実させてくれるのは、苦しいほどのライバル心をかきたててくれる人、やるせないほどのジェラシーを感じずにはいられない人。
 そういう人ほど、あなたの中で本質的に欠けている「何か」を補ってくれる、運命の人である可能性が高いのです。

出会いを求めない

 出会いを求めると「好かれない」のです。
 一つ目は、あわてて相手を探している様子は、はたから見てバレバレだから。渇望する姿は魅力的に見えないので、相手は引いていきます。
 二つ目は、心理学では「リアクタンス」と呼ばれているのですが、「追われると逃げたくなる」というのが人間心理。「ダメだといわれるとやりたくなる」心理です。
 三つめは、渇望しているときは、相手を見間違えやすいのです。人は、焦るとロクな判断ができなくなるので、気をつけましょう。「初頭効果」と「確証バイアス」を思い出しましょう。間違えた印象のもとに、間違えた情報だけ集めたら、判断を間違えて当然です。

心理学的な「頭の良さ」「性格の良さ」「心のきれいさ」を身につける

  • ポジティブ・シンキングをやめる
     そもそも、ムリです。自分の心を冷静に、そして正確に把握すること。
  • ダメな考え方を叩きこむ
     「ダメな考え方」を徹底的に熟知し、日頃から完全排除するように留意すれば、かなりの論理性、客観性を保つことができます。
  • 他人の価値観で考える
     自分の価値観で考えるのではなく、他者の価値観や周りの空気を察しましょう。
  • 優柔不断になる
     情緒不安定な人と安定した人の大きな違い、それは物事の白黒をはっきりつけたがるかそうでないか。
     社会適応やメンタルヘルスを考えたとき、今、本当に必要なのは、優柔不断さやグレーゾーンを許せる、やわらかい感性(ソフト・インテリジェンス)なのです。
  • 自己愛を満たす相手を探す
     自己愛とは、周りの人から「あなたは、自分のことを大切にし、尊重するべきなのですよ」という暗黙のメッセージを与えられることによって、初めて存在しうるものです。

5つのシナリオ

出会い前:アンニュイを準備する

 舞台に上がる前に「アンニュイな雰囲気づくり」を完成させなければなりません。
 なので、「イメージトレーニング」なるものをやめて、頭を空っぽにして過ごす。
 なぜなら、相手がイメージ通りの人格ではなかったり、または想定通りに話が展開しなかったとき、どうしても「軌道修正」にとらわれてしまいます。
 そうなると、舞い上がってギクシャクしてしまいます。
 スポーツ選手とは真逆の作戦が必要です。

 とはいっても、「考えるな」といわれると、余計に考えたくなります。
 心理学では「心理的パラドックス(逆説的現象)」と呼ばれている、忘れようとすれば努力するほど鮮明に思い起こされる現象がある。
 「シロクマのことを考えるな」といわれると、逆に考えてしまう現象がありますね。


 ありきたりな方法は。「身体を動かす」こと。
 人間は、何か一つの行動を取りながら、別のことを考えられるような器用なマネはできません。
 人間の脳は同時に3個のことを考えるとフリーズしてしまうほど処理能力は低いのですから、これを逆手にとって活用しましょう。

 ちなみに、植木さんのおすすめの方法は「くだらない宿題を課す」という方法です。

出会って15秒:情熱に火をつけよう

 心理学の「ダブルバインド(二重拘束)」というテクニックを使います。矛盾する2つのメッセージを、同時に相手に伝える。
 人は大きく矛盾する行為を同時に二つ突きつけられると、一瞬、心がフリーズする。
 終始ニコニコ、終始マジメのどちらでもない、たった15秒の間に全く矛盾する2つの表情を見せるのです。

 そして、正対しないこと。「相手と直角の位置」に座りましょう。
 目をがっつり見合わせて喋らなけらばならない状況は、仲良くなるどころか、むしろ互いに敵意を抱きやすくなってしまいます。

最初の1分:がむしゃらに踊らせる

 序盤は相手に喋らせましょう。
 たくさんの量を喋ったほうが「今回の会話は盛り上がった、この人とはウマが合う」と相手が思い込んでしまいます。
 盛り上がって喋っているのは、自分なのにもかかわらず。

 知ったかぶりの正反対。知らないふりをして相手に喋らせらせましょう。
 そして、あいづちでさらに乗せる。臨機応変にバラエティ豊かなあいづちを打つことです。

残り1分:ついにあなたは踊る?

 客観的事実の羅列会話を、感情表現をあらわにして打ち壊すのです。
 論理的に答えてしまうと、客観的な会話に戻ってしまうから注意。
 お互いの感情を高めあうための「シンクロニー効果」、すなわち、相手との類似性を強調することです。

 そして、徐々にあいづちの数を3分の1に減らしていきます。
 最初はあんなに共感してくれていたのに、なんで急に話が通じなくなったのか、わけが分からなくなります。

フィナーレ:物足りなさを残す

 心理学では「ツァイガルニック効果」と呼ばれる、不協和感と未完結感。
 お別れはあなたのほうから突然にしましょう。
 なんというかではなく「どんなふうに言うか」です。元気な声を出してはいけない。

 私の場合、世間話が盛り上がっている最中に、おもむろにバッグから資料を出して仕事モードに入り、少し黙りこんだりします。ある社長さんから感心されたのですが、これって、なかなか迫力ある人に見えるらしいですよ。