【君主論】傭兵隊に対する批判。そして反省。【証拠を挙げて検証】

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傭兵隊に対する批判

それというのも傭兵は相互に反目し合い、野心的で、軍律を欠き、忠誠心を持たず、その上味方の前では勇敢であるが敵に対しては臆病で、神をも畏れず、人間間の信義を守らないからである。したがって外からの攻撃を受けない場合だけはかかる君主は破滅を免れるにすぎない。そして平時には彼らによって略奪され、戦時には敵によって略奪されることになる。

 ずいぶんな怒りようだが、「味方の前では勇敢であるが敵に対しては臆病で」というところにマキアヴェッリのユーモアを感じる。

具体例

 マキアヴェッリが怒ったのも当然である。
 具体例として、
自ら武装して自由であった例:ローマ、スパルタ、スイス人
傭兵で失敗した例:カルタゴ、ミラノのスフォルツァ
を挙げている。
 極めつけは、マキアヴェッリの時代のイタリアである。

そして彼ら(傭兵隊)の有能ぶりのおかげでイタリアはシャルル八世に蹂躙され、ルイ十二世に略奪され、フェルナンドに侵略され、スイス人に侮辱されることになったのである。
 「有能ぶり」と皮肉たっぷりに指摘している。
 ヨーロッパ史や、イタリア史に詳しくない方には、塩野七生さんの著作をオススメする。

反省と修正

君主にとってよい基礎をもつことは欠くべからざるものである。そうでないと滅びることになる。

 マキアヴェッリの主張は、君主国であろうが、共和国であろうが、「良き法」と「良き軍隊」をもつことである。
今日のイタリアの破滅の原因はほかならぬ傭兵隊に長い間にわたって頼ってきた点に求められるからである。
 この一文にマキアヴェッリの主張がまとめられている。
 傭兵のおかげでさんざん失敗したのだから、もう傭兵隊に頼るのはやめましょう。