【君主論】尊敬をえるためにはどうすればいいか?

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 『君主論』第二一章は「尊厳を得るためにはどのように行動したらよいか」である。

成功例:イスパニア王フェルナンド

偉大な事業をなし、比類ない模範を自ら示すことほど、君主に対する尊敬をもたらすものはない。

 成功例として、イスパニア王フェルナンドを挙げる。
 具体的には、

  • グラナダ攻撃(レコンキスタ完了、イベリア半島からイスラム勢力の駆逐)
  • マラーニ人を追放、財産の略奪
  • アフリカ攻撃
  • イタリアとフランスへの外征

彼はまず国内が平和で妨害の気づかいがない時にそれを実行した。

彼らが気づかないうちに名声と彼らに対する支配権とを握るに至った。彼は教会と民衆との財力によって軍隊を養い、この内外戦争を通して自らの軍隊の基礎固めをし、やがてこの軍隊によって名声を博することになった。
常に大事業を計画し、実行した。その結果臣民は常に不安定な気持ちにおかれつつ驚嘆し、彼の成功に夢中になった。彼のこの行動は人々が常に冷静に彼に対して何かを企てる余裕を与えないよう、次々と行われたのである。
 と、大絶賛。
なによりも君主はあらゆる行動を通して偉大な人間で卓抜な才能の持ち主であるという評判をとるように自ら努力しなければならない。

外交

中立の否定

またある君主が真の味方であり真の敵である時、すなわち、彼がある一方に対抗して他の者に味方をすることをなんらためらうことなく公言する時、彼は尊敬を受けることになる。

 マキアヴェッリは「中立」を否定しています。
この両者どちらの場合にあっても自らの旗幟を鮮明にして堂々と戦う方が常に有益であると思われる。それというのも第一の場合、もし旗幟を鮮明にしなければ勝利者の餌食となり、敗北した場合はこの成行きを喜び、溜飲を下げることになる。そして保護を求めるにも名分がなく、避難所を与えてくれる人もいない。何故ならば勝利者は逆境にある時援助しなかったような疑わしい者を味方にしようとしないし、また敗れた者は剣を手にして自らと運命をともにしなかったような者を受け入れはしないからである。
 勝者からも敗者からも、恨まれ、憎まれ、軽蔑されるのです。

強力な敵を作るな

いつも起こることであるが、味方でない者は中立を要求し、味方である者は武器を執るように要求するものである。優柔不断な君主は、現前の危険を回避しようとして多くの場合中立政策をとり、多くの場合滅亡する。

 他国に攻め込む際に、同盟を組めなかったら、せめて敵に回らないように「中立」を要請するのは、当然のことです。
 この「中立要請」を受けるにあたって、慎重に対処しなければらない理由は、上述しました。
互いに戦う双方が自分にとって恐るべきでない場合、加担するにあたってはより一層の熟慮が求められる。
ここで注意すべきは、先に述べたように万やむを得ない場合を除いて、君主は自分よりも強力な者と同盟しないように気をつけるべきだということである。
勝利したとしても彼の虜になるからで、君主は他人の思いのままになることはできる限り避けるべきである。
「勝ちそうな方につこう」
という安直な方法は避けなければなりません。問題は、その後の展開です。
 他国同士の戦争の結果、強力な敵ができないように、警戒しなければならないのです。

賢明な外交をせよ

常に安全策をとることができる支配者がおよそいると考えるべきではなく、むしろ、支配者たる者はきわめて疑わしい方策をとらざるを得ないと考えるべきである。

さまざまな不都合の特質を知り、害の少ない方を良いものとして選ぶことを知るのが、賢明というものである。

内政を強化せよ

 中立を避け、他国からの脅威を除き、フェルナンドのような成功をえるためにはどうすればよいか?
 それは、内政を強化することです。
 自国が強大化してしまえば、強大な外国に左右されることはなくなります。しかも、どちらと同盟しようが自由を保持できるのです。

君主は自ら才能のある者を愛し、一芸に秀れた者を尊敬する人間であることを示さなければならない。
何らかの形で都市や領域の繁栄を考えている人々に対しては褒賞を準備すべきである。
市民たちが安んじて商業、農業、その他諸々の職業にいそしむように励まし、彼らが自らの財産が奪われるのを恐れてそれを増加させないようにしたり、重税を恐れて商取引を控えたりしないようにしなければならない。

  • 人材の発掘、登用、育成
  • 経済活性化
  • 国内の治安を守る
  • 適切な税制

 内政の強化が国力の増強につながり、外交でも有利なカードを持つことができ、自国にとって都合のいい同盟国を得ることができる。
 そうなれば、君主の評判が高まるのだから、君主権の強化につながる。
 君主権保持のためには、内政を強化せよ。