【読書】『変な経営論』

読書読書,変な経営論

「なんでこんな場所に建てたんだ? 絶対にテーマパークを建てちゃいけない場所じゃないか・・・・・」

 確かに、とてつもなく不便な場所だ。
 僕も20年前ぐらいに行ったことがありますが、交通の便が悪すぎるんですよね。
 なんで行こうと思ったのかも謎。
(経営再建前のことだし)
 ハウステンボスは1992年に開業したものの、一度も黒字になることがないまま、創業者の手を離れます。
 さらに、2003年に会社更生法を申請します。
 しかも、初期投資額が2200億!
 東京ディズニーランドの初期投資額が1800億円なのに。
 さらに、入場者数は東京ディズニーリゾートの10分の1。
 僕なら確実に失敗しますが、澤田氏は経営再建に成功しました。
 ただ、「俺はこんなこと出来たぞ!」という武勇伝の本ではないです。
 あんな失敗やこんな失敗もしたけど・・・・・
ということが織り込まれています。
 ビジネスパーソンなら参考になります。
 僕が勉強したことを、ピックアップします。

ポイント・ビジネスの7割は失敗する。3割の成功で取り返せ。
・ビジネスはスピード
・進化したテクノロジーを採用し、生産性を高めよう

ビジネスの7割は失敗する。3割の成功で取り返せ。

 応急処置として、入場料金を値下げすれば、とりあえず入場者数は増えるだろう。
 入場者数だけでも増やしてゆくゆくは・・・・・と思って「価格政策」に走ってみたのですが、失敗に終わります。
 なぜなら、ハウステンボスはタダでも行きたくない場所だから
 しかし、この失敗から学びます。
 タダでも行きたくない場所なら、金払ってでも行きたい場所に変えればいい。
 そうして、「価格政策」から「コンテンツ勝負」に方針転換し、見事成功。
 今では入場料を値上げしてもお客様が増えているそうです。
 しかし、すべてのイベントが成功したわけではありません。

 長崎県佐世保市の隣町は、佐賀県有田町。有田の陶器市は有名で、1週間の開催期間中に100万人もの人が集まる巨大イベントだった。ハウステンボスでも陶器市をやれば、人が集まるのではないか?
 「向こうはタダじゃないですか。うちの冴えない陶器市に、入場料を払ってまでくる人いるんですかねえ・・・・・
 「なんで、始める前に言ってくれないんだ!」
 もうグウの音も出なかった。まったくその通り。恥ずかしながら、そんなことすら理解していなかった。素人の悪い面が出たのだった。
 まあ、確かに、勝ち馬に乗る方が手っ取り早いのは当然。気持ちは分かります。
 それに、やったことのない仕事なら、完全な手探り。失敗しそうだというカンすら働かない。
 確かにグウの音も出ない。
 ハウステンボスでは数々のチャレンジをしたが、実は、その7割は失敗に終わっている。しかし、残りの3割が大成功したから、黒字になった。ビジネスとはそういうものだ。失敗は必ずある。失敗するごとに泣き言を口にしているようでは、経営はできない。粛々と続けるのみだ。
 7割も失敗したのかとか、7割失敗してもいいのか、7割失敗しても成功するのか、とかなんとか。
 こういってくれるとラクになりますね。
 どうせ失敗するんだ。
 どっかで成功して、取り返せばいいんだ。

 澤田さんは、テーマパーク事業に続いて収益の柱になりそうな事業として、「ホテル」「ロボット」「エネルギー」「植物工場」の4分野だと考え、それらを始めています。
 その話は本書を読んでいただくこととして、それに関しても、いろんな失敗も成功もがあります。
 「常識」と言われていることに反しても、とりあえずやってみる
 どうせ失敗するんだ。
 それをどこかで取り返せばいいのだ。
 成功したらそのまま継続すればいいんだ。
 7割失敗しても3割の成功で取り返せるのだ。

ビジネスはスピード

 澤田さんは会議をやらないそうです。
 担当者とその上司との3人の立ち話で即決。
 企画書もA4の紙1~2枚で十分だと思っているそうです。
 会議で時間を無駄にしている間に、チャンスは遠くに去ってしまうからです。
 まあ、僕もサラリーマンだったので、税金だと思って会議とかミーティングとか出てました。
 けど、それに時間をとられると、チャンスを逃すどころか、通常業務すら回らなくなってくる。
 しかも、異常に疲れる。
 それに、僕も企画書、反省書、報告書の類はA4の紙1枚にまとめる努力をしています。
 あれをとんでもない枚数持ってくる人いるんだけど、誰か読むのか?
 僕は読まないぞ。
 ビジネスはスピード。
 思いついたら即実行。
 無駄な会議や書類作成で時間を浪費していたら、誰かに先を越された
・・・・・なんてバカバカしいですからね。

 ハウステンボスではエアホイールを使えます。ドローンも飛ばせます。
 それは私有地だから。
 現在の日本だと、許認可に時間がかかります。
 これだけ技術の進歩が速い時代で、新しい技術を使ってみたいけど、許認可に時間がかかる・・・・・
 それが、ハウステンボスなら早く実行できる。
 実際には「7割の失敗」もあるし、実地試験を行ったらダメだった、ということもあります。
 しかし、それでいいのです。
 まず、何が失敗するのかが分かる。新しいテクノロジーのどれが成功作で、どれが失敗作なのか、なんて誰にもわかりません。だったら、先にやっちゃいましょう。
 そして、失敗したら対策を考えるということが他の人たちよりも先にできる。
 その結果、ノウハウがたまる。
 それを繰り返せば、
・他社よりも優れた技術をお客様に提供できる
・商売の質も高められる
・テリトリーも広げられる
・ビジネスチャンスにつながる。
 だから、とっとと始めてしまって、自分や自社の技を増やしましょう。

進化したテクノロジーを採用し、生産性を高めよう

 「変なホテル」の名物といえば、フロントにいる恐竜型ロボットだ。
 高い生産性の象徴として、フロントにロボットを立たせることは開業前から決めていた。そこで、様々なロボットをテストしたのである。ところが、9割がたは耐久性がなくて使えなかった。数時間もすればモーターが焼き切れてしまう。人間の世話をするべきロボットが、介護を必要とするのでは、話にならない。
 結局、もっとも強かったのが、博物館で使われていた恐竜型ロボットだった。
 要は、耐久性が最優先だったわけだ。
 それでも毎日20時間、壊れずに働き続けている。人間ならここまで元気に働けない。

 人間なら20時間も元気に働けないし、だいたいブラック企業だ。
 でも、ロボットなら大丈夫。
 フロントをロボットに任せて人件費を削る。
 浮いた費用を価格に転嫁し、宿泊料金を下げることができる。
 もしくは、空いた時間でロボットにはできない創造性のある仕事をする。
 論理的な話なのですが、ホテル業界の人たちからは反対されたそうです。
 しかし、実際にやらせてみたら、お客様の反応も良く、恐竜型ロボットに喜んでくれた人もいた。
 フロント以外にも、掃除ロボットも導入しています。
 現時点で、浴室の掃除、ベッドメイキングなどはロボットに任せられないから、人間がやらなければならない。
 それでも30~40人のスタッフが必要なクラスのホテルなのに、7人で運営できるくらい生産性が高まりました。
 澤田さんも、ここまで生産性が高められるのか!と驚いた。
 ハウステンボスのほかのスタッフもどうして7人でできるんだ!とプレッシャーを感じた。
 これが、「リストラやって30人から7人に減らした」なんてストーリーなら、絶望的な会社だ。
 しかし、ロボットを活用したら30人から7人で回せるようになった、というのであれば、経営の力ってすごいんだな、と思います。
 それができるのは、
新しいテクノロジーを導入したこと
それを採用した経営
なのです。

まとめ

  • ビジネスの7割は失敗する。3割の成功で取り返せ。
  • ビジネスはスピード。
  • 進化したテクノロジーを採用し、生産性を高めよう。