【読書】『世界を変えた微生物と感染症』【注意と警戒、そして対策】
一口に「微生物」といっても、細菌類・菌類・原生生物・ウィルスとあるのですが、こういうご時勢なのでウィルスのことをメインに考えてみました。
- 「COVID-19」という名前をつけたのは、WHOの英断。
- 正しく恐れるということは、注意と警戒、そして対策。
- ウィルスの情報を集め、対策をとり、教訓を得て、次に備える。
WHOのファインプレー
疾患が発生した(と思われた)国や、発見者の名前を冠するのですが、今回の新型コロナウィルスは、「COVID-19」という記号の名前になりました。
国や発見者の名前をつけてしまうと、それが差別や迫害を生んでしまう。
差別や迫害の被害者も不幸ですが、研究が進まなくなり、よって対策の遅れにつながるデメリットがある。
今回のことでも、初期の感染者が中傷されたり、HIVでも中傷がありました。
そのことを考えれば、「COVID-19」という記号の名前をつけたのは、WHOの英断でしょう。
差別や迫害や、誹謗中傷は効果がないどころか、問題を深刻にしてしまうのです。
新型コロナは、
・「経済や社会の維持」と「感染の抑制」をどうやってバランスをとるか?
・病院の機能維持と患者の収納をどうするか?
といった、医学だけでは答えの出せない問題を生み出してしまいました。
社会全体で、冷静に立ち向かわなければなりません。
感染症の歴史
主だったものだけを挙げてみても
13世紀:ハンセン病
14世紀:ペスト
16世紀:梅毒
17世紀:インフルエンザ
18世紀:天然痘
19世紀:コレラ 結核
20世紀:インフルエンザ エボラ出血熱 エイズ 腸管出血性大腸菌感染症
21世紀:SARS 新型コロナウィルス
と、こんなにあったっけか? と思うくらい、感染症はあったのです。
そして、人間は乗り越えてきたのです。
ちなみに、中世キリスト教が古代ローマ的なのもを破壊してしまった結果、ローマの上下水道も破壊してしまいました。
結果、ローマではウ〇チ垂れ流し状態に・・・・・
そんな「不衛生」な状況だったので、中世のローマでは疫病が頻発するようになってしまいました。
そのことを考えると、上下水道完備されているし、毎日お風呂入れるし、って考えると恵まれているんだな。
新型コロナウィルスは
- アルコール消毒、手洗い
- 飛沫感染が中心なので、マスク・フェイスシールドの着用
- 社会的な距離(ソーシャルディスタンス)の確保と換気
で対策をとりましょう。
正しく恐れるということは、注意と警戒、そして対策です。
誹謗中傷ではありません。
体内細菌の数、100兆個以上
人間の体には、「常在菌」が住んでいます。
腸内には、約100兆個。
口の中には、約100億個。
皮膚には、約1兆個。
体内細菌の数も、二十数年前には10兆個と言われていましたが、今では100兆個以上だと考えられています。
体細胞は37兆個と言われているので、体内細菌の数ははるかに多いのです。
ちなみに、皮膚常在菌のバランスが保たれていれば、多少、病原菌がいようがカビがいようが、守られているのです。
顔を洗うと常在菌が流れ落ちてしまうのですが、通常は30分から2時間で元に戻ります。
しかし、クレンジングなどで必要以上に洗い落としてしまうと、常在菌が減りすぎて、元に戻るのに時間がかってしまいます。
なので、清潔にしましょうといっても、洗いすぎには注意です。
人獣共通感染症
「ウィルスの立場に立って考えよう」というのも妙な話ですが(ウィルスは何も考えていないし)、ウィルスの生存戦略を考えてみましょう。
ウィルスは宿主に寄生しなければなりません。
宿主が行動不能になり、死んでしまったりしたら、生息範囲を広げられません。
しかし、ある程度の病原性をもっていなければ、他の宿主に寄生することはできません。
ということで、「寄生」と「病原性」のバランスをとっているのですが、何かのはずみで他の動物に感染してしまう能力を持ってしまうと、そのバランスをとることができず、病原性だけが強まってしまいます。
と考えると、動物からヒトへの感染だけではなく、ヒトから動物への感染もあるのだろうなぁ、と推測します(素人判断ですが)。人間も100兆個以上の体内細菌がいるのだから。
そこまで考えてしまうと、「未知のウィルス」も怖ろしいことですが、「既知のウィルス」も怖ろしい。
脅すわけではないのですが、結局、ウィルスはいつ発生するか分からない。
そうなると、ウィルスの情報を集め、対策をとり、教訓を得て、次に備える。
結局、注意と警戒、そして対策です。それは「正しく恐れる」ことです。
まとめ
- 「COVID-19」という名前をつけたのは、WHOの英断。
- 正しく恐れるということは、注意と警戒、そして対策。
- ウィルスの情報を集め、対策をとり、教訓を得て、次に備える。